志村けんさんの出身地、東村山市に〈銀河鉄道〉というバス会社があります。
クラブでも合宿の時に、何度かお世話になっているバス会社さんです。
その〈銀河鉄道〉さんは、3月12日から、都心に向かう無料バスを運行しています。「不要不急の外出は控えるように」という各知事からの要請はありますが、しかし通勤しなければならない人もたくさんいます。満員電車――コロナウィルスへの感染に対して今、誰もが不安を持っています。
〈銀河鉄道〉さんは、そういう方の力に少しでもなっていきたいという思いから、この、都心への無料路線の運行を決めたそうです。無料なので、もちろん赤字です。その額、今のところだけでも2000万円。社長は自らが運転し、社員の方も、職務でもないのに、乗客の見送りをしているそうです。
「いつまでやるんですか?」
という質問に、「会社がある限り」と、社長は気取ることなく、でもキッパリとそう仰っていました。
通常通りではない生活を強いられると、やはり人間、疲労してきます。疲労すると、精神的に不安定になり、イライラしたり、落ち込んでしまったりします。国内を見ても、世界を見ても、暗いニュースが多いので、気が滅入ってきます。
しかし、そんな中にあって、「負けてなるものか!」という人間の意地を、このバス会社の取り組み、そしてその社長さんの言葉から強く感じました。
感染者数など、数字を見ると、その大きさに愕然としてしまいます。自分一人が何をやったって、意味ないんじゃないか――そういう気持ちにもなってきます。しかしこういった善意の取り組みを見聞きすると、ふつふつと、沸いてくる感情があります。
〈銀河鉄道〉さんは、無料バスの運行期間を延長するとHPにお知らせを出しました。忍耐強く戦って行く覚悟と気持ちが、今求められているのだと思います。選手の皆も、暗いニュースばかりで、気持ちが疲れていると思います。だけどこういう取り組みをしている人たちもたくさんいる、ということを知ってもらいたいと思います。
辛いとき、きついときこそ、真価が試されます。強い相手と戦うとき、大差で負けているとき、疲れて動けなくて苦しいとき――そんな時でも、最後まで戦いきる、それがサッカー選手のメンタルです。今はサッカーは出来ないけれど、サッカーで最も大事なことを学び、培い、磨いていくチャンスです。
国立国際医療研究センター病院でまさに最前線でこのウィルスと戦っている 国際感染症センター長の大曲医師は、「我々は全く諦めていない」と強くコメントしています。 人間の意地、選手としての意地、今こそ見せ時です。