今日は選手用に、自主練のことなど書いていきます。
緊急事態宣言が一ヶ月延長される見通しとのことなので、その中で、どんな練習が出来るのが、どんな自主練習を組んでいけば良いのか、そういったことを考えるための一つの参考として、受け取って貰えればと思います。
自主練習の目的
今現状で、自主練習の目的は以下2つになるかと思います。
①体力の維持・向上
②ボールテクニックの向上(維持ではない)
上の二つの要件を満たすトレーニングを考えて行くと、以下3つの練習がお勧めできます。
1,LSD(ロング・スロー・ディスタンス) 25~60分
2,ボールトレーニング→明確なテーマを持って行う
3,インターバルの短距離ダッシュ(20メートル×10本前後 必ず1本ごとに30秒程度時間を空ける)
なんてことはないメニューですが、これを2日に1回程度、週3~4回できれば、①体力の維持・向上、②ボールテクニックの向上が充分期待できます。LSDやインターバルのやり方は、特に難しいことはないと思います。
ボールテクニックの練習について
ボールを使った練習では、二つの目的によって取り組み方が以下のように変わってきます。
①テクニックの維持→とりあえずボールを触る
②テクニックの向上→明確なテーマを持って行う
この二つのうち、今回は②について書いていきます。①は、とりあえずボールを触っていれば達成できるので、別に難しいことはないと思います。
「明確なテーマ」とは何でしょうか。例えば、「インサイドキックが蹴りたい」というのもテーマです。が、これはまだ「明確」ではありません。「速いインサイドキックが蹴りたい」となると、ちょっと「明確」になってきます。しかしこれもまだ曖昧です。
このインサイドキックの例でいえば、今よりも「速いインサイドキックを蹴りたい」という目標があります。しかし、それを達成するためには、何が必要でしょうか。インサイドキックの「どの要素」が自分に必要でしょうか。「軸足」「蹴り足の角度」「上半身の筋肉の状態」「ボールを置く位置」など、いろいろ考えられます。こういった、そのテクニックの要素のうち、自分に足りないのは、改善が必要なのはどこでしょうか。これを、「課題の抽出」といいます。
上のように「課題の抽出」を行えれば、自然と、取り組むべき練習の内容が定まってきます。このことが、練習の「テーマ」です。だからテーマというのは、「1vs1が強くなりたい」「インサイドキックが上手くなりたい」「ロングキックを飛ばしたい」というようにざっくりさせたままにしておいてはいけません。「股関節の可動域を広げるために腹筋の力を緩めて蹴る」「相手の間合いに入るときにステップを踏めるようにする」というように、具体的なものにしていくこと、これが上達の秘訣であり、「明確なテーマ」です。
「とりあえずボールを触る練習」と「明確なテーマを持った練習」では、その上達のスピードと深度が全く違ってきます。練習をする場所は限られていますが、その限られた中でも、「明確なテーマ」を抽出し、持つことが出来れば、充分有意義な練習が出来、上手くなれます。
と、いうわけで、今日は練習――特にボールトレーニングの「テーマ」についてお話ししました。こういった物理的に不自由な状況は、逆に、創意工夫の力を養うチャンスです。こういうチャンスを、逃さないでほしいと思います。